2019/04/16 お詫び及びお知らせ

『会報』130号春季大会パネル発表要旨に関するお詫びならびにディスカッサント変更のお知らせ

『会報』130号掲載の春季大会発表要旨のうち、パネル発表「文学は〈化生〉という概念によって世界をどうとらえていくのか--女性文学から読み解く」の山田昭子氏のものが未掲載となっております。編集過程で生じたミスであり、山田氏およびパネル発表の関係者のみなさまにはご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。山田氏の発表要旨は、下記の通りです。
 文学はこれまでも人間の身体を「化生(けしょう)」「化生(かせい)」するものとして描出してきた。従来、異物、異人、あるいは生き物としての同質性として描かれてきた〈化生〉表象だが、現在、それらとは異なる現象が表れているのではないか。
 以上のような問題意識から、このパネルでは、現代女性文学の中の〈化生〉の表象について、三名の研究者が研究発表を行う。
 山田昭子は、吉屋信子『鶴』を取り上げる。本作は、吉屋が戦後しばらくの間集中して書き続けた作品の一つであり、「現実の世界のどこかにふいと漂う妖しさ、幻影、奇妙な運命」(『千鳥 ほか短編集』あとがき)というテーマを根底に持つ。一見、動物報恩譚である「鶴の恩返し」を想起させるが、ここでの鶴は、単なる化身として描かれているわけではない。作中に登場するゆきは、戦中から戦後にかけ、破壊と荒廃の世界を生き延びた女として描かれる。ゆきを支えたのはイメージの力であり、その想像力は鶴によって喚起され、持続される。「化生(けしょう)」しうる存在として描かれる鶴が、聖域と俗世間、戦中と戦後、肉体と精神といった二つの世界を行き来し、絶望の中に見出したゆきの希望として位置づけられていく過程を明らかにしていく。

なお、同パネルのディスカッサントがドナテッラ・ナティリ氏から中沢けい氏へ変更になりましたので、あわせてお知らせします。